3年前に100歳手前で亡くなった祖母は、戦争中に、3歳になる父の手を引き、生まれたばかりの叔父を背負って必死に走って逃げる途中、稲刈りのすんだ田んぼの真ん中で米軍機による機銃掃射を受けたそうです。田んぼの真ん中で隠れる物もなく、ただ父を抱きかかえて小さく丸くなる祖母と背中の赤ん坊は、飛行機の中から機関銃を構えた兵士から丸見えだったでしょう。あたりが静かになって起き上がると、祖母の前と後ろに弾があって運よく祖母には当たらなかったので難を逃れたと、祖母は笑って話してくれました。でも、それがどれだけ怖ろしい経験だったか、今更ながら思い返しています。
戦争経験者が実体験として「戦争は絶対ダメ」といわれる言葉には重みがあります。あんな思いを子や孫に、他の誰にもさせたくないという強い思いは、どんな反論も寄せ付けない強さがあります。しかし、戦争経験者が少なくなるこれからは、私たちもまた「戦争は絶対にダメ」という責任があるでしょう。私たちも、そう言い切るための重みや強さを得るための8月でありたいと思います。私が、私たち教会が「戦争は絶対にダメ」と語るものとされますように。平和をつくるものとされますように。(柴田かおり)2021年8月15日週報